<とにかく難しい> ページ(3)の Gouy-Chapman の式は解析的な式なので η0=1000、つまり電極電位が 1000 VT=25 V でも計算できました。 しかし前ページ(4) で示した方程式をパソコンで解いてみて次のことが分かりました(Gouy-Chapmanの問題を微分方程式として扱っても同様です)。
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<解の特徴>
元々の問題は静電ポテンシャル(電位)φ(x)を実際の電気化学系(xはミリからメートルにわたる)について求めるというものでした。 スケーリングをしてη(ξ)すると ηの上限は数十から千に、ξの上限ξ0は10pにもなります。 変化が大きい電気二重層EDLはξが1あたりまでしか存在しないので、随分と効率の悪い計算を することになります。ミクロなEDLとマクロな装置内電場を一つの式で扱おうというのだから欲張りな話ではあります。 |
<打ち切り誤差と丸め誤差> どちらも数値計算ではよく遭遇します。前者はステップ間隔が粗すぎることで生じる誤差です。細かくすればいいかというと、時間がかかりすぎる、誤差が蓄積するといった副作用が現れます。 丸め誤差は桁数が足らないことによる誤差のことですが、ここではオーバーフローというトラブルとなって現れます。浮動小数点表現のべき指数の桁数が足らないという意味です。 前のページで η0=20 (0.5 V) までの計算で終わったのはそのためです。 |
<パラメータ値の不確かさ>
Runge-Kutta 法で関数値η0と勾配γ=dη/dξを初期値として解いたのですが、
片対数グラフで見ると不確かさの影響がよくわかります。左は試行錯誤で計算したもの、右は勾配の経験式を用いて計算したものです。
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<勾配の不確かさ>
κ=0.001 のとき、xmaxまで試行錯誤によって解を求めるのにγの精度がどれだけ必要かを示したのが次の表です。最後の桁の数字が±1変わると解が発散する可能性が大きくなります
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<解のカオス性>
左で述べたことを図式化すると次のようになります。これはカオスといわれる状況です。試行錯誤とは「発散しないように進む」という意味です。
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