原子・分子にエネルギーを割り振ると分布は? (2)

<問題の意味>

(1) の続きです。右図のような分布パターンを加重平均すればボルツマン分布になるといいました。 そこで分布パターンの数え上げとそれぞれの重み(相対頻度)の計算をやってみましょう。 まず、 分子数がNであることを
x0+x1+x2+x3・・・=N
とします。エネルギーについては、箱に割り振られたエネルギーが等間隔であるとして
0・x0+1・x1+2・x2+3・x3・・・=M
とします(見やすくするために 0を掛けてあります)。

条件にあう(x0, x1, x2, x3,・・・) の重みを W とすると、Wは多項分布の式で得られます。

<N=3, M=3 の場合>

N=3, M=3の場合を調べましょう。上の2つの式を満足するパターンは右の(a)の通り3通りになります。 それぞれの重みは、左から順に W=(2+1)!/2!1!=3, (1+1+1)/1!1!1!=6, 3!/3!=1 です。

それぞれの箱に入った個数を数え上げると(b)になります。例えば 0 の箱には 2×3+1×6+0×1=12 の相対頻度で分子が入ります。 (1) のシミュレーションで求めた分布によく似ています。

<N, M が十分大きい場合>

現実の原子・分子の世界ではNもMも極めて大きな値になるので、場合分けや数え上げは無理です。 そこで、重みが一番大きい分布が支配的であると考えます。ただし、重みそのままではなく重みの対数を調べます。

右が対象とする関数で、αとβは未定乗数というパラメータです。x0等で偏微分すれば指数関数分布が導かれます。

f = log (x0+x1+x2+x3・・・)!/x0!x1!x2!x3!・・・
+α(x0+x1+x2+x3・・・ - N)
+β(x1+2x2+3x3・・・ - M)

2-11-2019, S. Hayashi