<問題の意味>
A〜Kのトランプ13枚をよくシャッフルして積んでおきます(裏返して)。 そして1枚ずつ最後までめくっていきます。k枚目にめくったのがkの札ならコーインシデンス(偶然の一致)が起きたといいます。 もちろん、Aceの札は 1、Jackは 11、Queenは 12、Kingは 13 とみなします。 さて、コーインシデンスが少なくとも1回起きる確率 P1はいくつでしょう? あるいは、余事象で言い換えてコーインシデンスが全く起きない確率 1-P1はいくつかといってもいいです。 ちなみにFeller先生の本にあるcoincidennce という言葉は物理の実験やパルス計測でよく聞くので若干の違和感は否めません。 |
<n=3の数え上げ>
コーインシデンスを扱うためのてがかりとするためにカードが3枚(n=3)の事象を数え上げましょう。 n=4なら0.625となります。しかし、n が大きくなるとこのような数え上げは無理です。 |
<トランプのシャッフル>
1〜13の数をランダムに入れ替える操作を次のようにして実現しましょう。k番目の乱数をuとして
(1,u1)、(2,u2)、・・・、(13,u13)のペアを作ります。そしてuを順に並べ替えます。
パソコン上でのシャッフルがこうやって実現できます。
13枚に限らず、30枚でも365枚でもP1は調べることができて、右の通りになります。枚数によらずP1=0.62 か 0.63 といえそうです。
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<n=3の説明>
Feller先生の方法(p.100)をn=3に即してざっと説明します。まず1回目でコーインシデンスが起きた事象は(a)(b)、2回目は(a)(f)、3回目は(a)(c)です。 従ってコーインシデンスがどこかで1回起きた事象の数はT(1)=6です。 同様にしてどこかで2回起きた事象の数はT(2)=3で事象は(a)(a)(a)、3回ならT(3)=1で事象は(a)です。 実際に知りたいのは少なくとも1回起きた事象(a)(b)(c)(f)の4ですが、これはU(1)=T(1)-T(2)+T(3) によって得られます。 |
<一般のn>
U(1)=(1/1!-1/2!+1/3!-・・・±1/n!)n! となります。 よって n がある程度大きくなれば P1=1/1!-1/2!+1/3!-・・・±1/n!≒1-e-1=0.6371 が導かれます。シミュレーションの結果が説明できました。 |