1次元ランダムウォークを「見える化」するには?

<問題の意味>

1次元ランダムウォークとは、直線状をランダムに1目盛りずつ行き来する過程のことです。 話を分かりやすくするために、ランダムウォークする人(ランダムウォーカー)の動きで説明しましょう。 東西に延びた一本道をランダムに一定の歩幅で進みます。 ただし、ランダムなのは進む向きが東か西かだけであって、歩幅と時間間隔は一定です。

何歩目かを k=0,1,2,・・・で、最初の位置つまり原点からどれだけ離れているかをi=0,±1,±2,・・・でそれぞれ表します。 ランダムウォークの経路とは、(k,i) の系列 (k=0,1,2,3,・・・) のことです。 それを「見える化」してください、というのが問題の意味です。

<エクセルが便利>

右の2つは15歩進む経路を「見える化」した例です。縦方向に時間がス進行します。 種明かしをします。

  1. 一番左のA列は±1をランダムに出します。+1なら右に一枡移動します。
  2. 次のB列はランダムウォーカーの位置です。 B3セルに =B2+A3 という式を入れた後、下方にフィルハンドルを引きずります(fill-handle drag)。 これで経路ができました。
  3. その右の升目が「見える化」の領域です。1行目に見出しに相当する -10〜+10 を入れます。 D2セルには、IF($B2=D$1,"●","") を入れたあと右方と下方にフィルハンドルを引きずります。$の有無はとても重要です。
  4. 最後に i=0 の列に色をつけて原点であることがわかるようにします。

F9キーを押すたびに経路が次々に出てきます。右上は一旦原点に戻る例、右下は一度も戻らない例です。 これらの経路の出現頻度を調べることがランダムウォークの問題です。このとき、各々の経路は、どれが出やすいということはない、 つまり同じ確率で現れるということをまず押えておきましょう。

2-15-2019, S. Hayashi