<原子をビー球に見立てる> Cu, Au など多くの金属では、あたかもビー球を積み上げたかのように原子が並んでると考えられています。玉同士がお互いに接触しているので最密充填構造をとっているといいます。 最も単純な積み上げは、底面が正三角形のピラミッドを作ることでしょう。1層目(A層)を一辺が7個の正三角形とし、2層目(B層)を一辺が6個の正三角形とし・・・を続けると右の写真のような正四面体ができます。 下の層のすきまに次のビー玉が乗るのでA-Bと表しますが、3層目も両層のすきまの上に位置するのでA-B-Cで表します。 |
<ビー球を積み上げる> 馬(n+1)/2=84個のビー玉を使用。
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<立方体が隠れている>
実は右上のピラミッドの中に立方体構造が隠されていることが分かります。 そこで そこでピラミッドからビー玉を順に取り除いていくと28個の所で右の山ができます。層の数はA-B-C-Aの4で、てっぺんの玉は1個、その下は6個です。これを眺めていると、てっぺんのビー玉を頂点とする立方体が見えてきます。 分かりやすくするために立方体の頂点を直線で結び、関係する原子に色を付けると下の写真になります。 |
<ビー球を取り除く> 1+6+21+28=56個のビー玉を使用。
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<面心立方格子>
右の写真で赤い印をつけたビー玉はA層、紫色はC層、黄色はB層です。赤の真下のA層はすきまを通してしか覗けません。 紫は正方形の真ん中にあります。 この立方体は、面心立方格子(cF)の上にあるので面心立方充填構造(fcc, face-centered close packing)であるといいます。この立方体を縦横に平行移動すれば単結晶内部の原子の位置が表せます。 <ピラミッドの面> 最初の写真の正三角形は、右の写真の赤-ピンク-黄色の線の上に乗ります。この面は立方体の対角線に垂直なので(111)面が露出していると考えます。 |
<三角錐に埋もれた面心立方体>
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<もう一つの最密充填構造>
第3層を第1層の真上においてA-B-A-B型にビー玉を積み上げることができます。右の写真のように第1層を一辺がビー玉7個の正三角形とすると、第2層はやはり一辺6個ですが、第3層は一辺4個、第4層は一辺3個です。 最後の第5層はビー玉1個で、合計66個になります。一見すると三角錐ですが、fccと違って側面のビー玉の並びには凹凸があります。この場合、ビー玉は六方格子の上に乗っているので六方最密充填(hcc, hexagonal close packing)を取っているといいます。 なお、写真では分かりにくいのでここでは示しませんが、アクリル板を壁にして(110)断面を作ったところビー玉の並び方が第(2)部の結果と一致しました。 |
<六方格子>
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<結論>
ビー玉の積み上げによって最密充填の特徴がかなり理解できたと思います。しかし、断面の形を調べるに目的には多分ピンポン玉のほうが扱いやすいでしょう。 |