クエン酸中の Zn と Fe

(4) 結果の解釈

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<実験結果の整理>

実験モードの図を再度参照しながら結果を整理します。

  1. Mode 1〜4 のすべてで気泡はMで発生しました。 2H++2e-→H2  (1)  がMで起きたと考えられます。
  2. Mode 2〜4 のすべてでM がアノード (陽極)、N がカソード (陰極) となり、電圧が発生しました。電流は Mode 3〜4のみです。
  3. Mode 1 で e- の供給元は Fe→Fe2++2e- でしょう。SS では同様の反応が起きにくいので気体が発生しなかったのでしょう。
  4. Mode 2 はMode 1 と同じ機構と思われますが、発生量が増えたのはMの表面電荷が減ったためではないでしょうか。
  5. Mode 3〜4 で気体発生量が格段に多くなりました。N から回路を伝わって電子が供給されたヵらと考えられます。
  6. 気体発生量は式(1)の電子の供給量に比例すると考えられます。供給量が最大なのは Mode 4 (r=0) なので気体発生速度も最大です。
<実験モード>

M=鋼鉄またはステンレススチールの針金
N=亜鉛缶
SS=ステンレススチールの略


<意外だったこと>

気体が発生したのは、N よりイオン化傾向が小さい M からだった。ただし、項目5はイオン化傾向と矛盾しない。

<反応モデル>

N と M が回路でつながっている Mode 3〜4 については右図の反応モデルが考えられます。反応(1)の電子の供給元は、Mの原子のイオン化とZnのイオン化の二つありますが、 後者のほうがはるかに勢いがあります。
なおこのモデルはMode 1〜2にも適用できます。Mode 1 ではNを消せばよく、Mode 2 では r のところで切断すればよいのです。

<等価回路>

r=∞で微少電流、r=0 で最大電流を実現する回路として右図が考えられます。ρの値はNの有無で変える必要があります。

<反応モデルと等価回路>

<鋼鉄線の表面変化>

一連の実験を終えた後の鋼鉄線です。未使用の線と比較すると黒化が目立ちます。

<もし海水中または食塩水中で実験すれば>

SACP を確認する実験になります。Mode 1 と Mode 2 では錆びが発生するでしょう。もちろん気泡は発生しません。 Mode 3 と Mode 4 では錆びが出ないと期待されます。遅い変化なのですべてのModeを同じ条件下で同時に実行すべきでしょう。

6-22-2022, S. Hayashi