Numerical calculation of eigenvalues for Morse potential

Morse ポテンシャルの固有値を数値的に求めること

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<問題>

Morse ポテンシャル V (右図)に対する シュレーディンガーの波動方程式

を解け(0<r<∞)。ただし、 u(r) は有限であり(固有関数)、特定の Ev(固有値)でしか存在しません(v=0,1,2,・・・)。m は分子ABの換算質量です。 l(l+1)項は振動しながら回転する分子が遠心力を感じることを表わしていますが、以後 l=0 とします(l=1,2,... を代入しても大きな影響はありません)。

この解は原点で u(r)→rl、古典的転回点の外では指数関数的に減衰することが分かっていますが数値計算には直接的影響はありません。

<Morse関数>

この関数は平衡結合間距離r0で最小値、r→∞で一定値(解離状態に対応)を取ります。具体的な式は別のところに出ています。なお、ポテンシャル深さ D=100、r0=1(いずれも無次元量)。

<固有値の計算法>

上に述べた振る舞いは Ev が固有値のときに成り立ちますが、そうでなければ u(r) は発散します。そこでまず E の初期値を決めたあと次のサイクルを踏みます。なおΔE=0.1 です。

  1. Evに対応して数値積分の左起点と右起点を決める。
  2. 左起点からRunge-Kutta法で右方向に中点rcまで解いた解を(uL,u'L)、右起点から左方向に中点rcまで解いた解を(uR,u'R)とする。
  3. Wronskian W=uRu'L-uLu'R を計算する。
  4. W の符号に変化が起きたかを調べる。
  5. YesならばそのEを固有値Evとする。そして、E を次の固有値に向けて更新する。NoならEを微小量ΔEだけ増やす。
  6. サイクルの最初に戻る。
<Wronskianの軌跡>

W=0 を横切るときのE値が Evです(v=0,・・・,8)。横切ったら直ちに次の固有値の探索に移ります。

<固有値と固有関数:調和ポテンシャルによる試験>

厳密解が分かっている調和ポテンシャルに適用してプログラムにエラーがないことを確認しました。

<固有値と固有関数:Morse ポテンシャル>

本番の答えです。横線は E0, E1,・・・, E8、赤い曲線は固有関数です。

10-31-2024, S. Hayashi