Citric acid-citrate buffer solution Mathematica/Wolfram に戻る 参考(2020)に進む 参考2(2025)に進む
<緩衝液とは>
酸性緩衝液の簡単な例は、酸 HX と塩 AX (A=Na, K, etc.)の混合溶液です。X-を共通イオンといいます。AXは100%電離しますが、HXは一部しか電離しません。 もし何らかの理由でH+が増えても、かなりの部分がHXとなって排除されるのでpHの変化はわずかなものとなります。これが緩衝作用です。濃度と解離定数Kが分かれば緩衝液のpHは近似的に計算できます。 ここでは三塩基酸であるクエン酸H3Xについてプロトン濃度[H+]を近似計算せずに求めます。まず平衡を表わす式は ![]() |
<保存則>
X (1価〜3価の負イオン)の保存則は ![]() ここでCaはクエン酸の仕込み濃度、Csは正塩の仕込み濃度です。 次にH+の保存則は ![]() ここでΔCは余剰の(緩衝作用が働く前の)H+(例えばHClに由来)の濃度です。負であればH+が除去されますが、不足すればH2Oからも引き抜かれてOH-が生じます。 |
<プロトン濃度の方程式>
x=[H+], y=[H3X]とすると次式(5次方程式)が得られます。
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<f(x)=0 を解くにあたって>
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<Wolfram code (Chemistry_buffer.nb)> (1) funcHwo という名前で f(x) を定義します。
![]() (2) クエン酸塩が 0.2 mol/L, クエン酸が 0 mol/L のとき(つまり塩のみのとき) 5番目の解から pH=9.728 であることが分かります。ちなみに上記の近似計算でも pH=9.728 でした。
![]() (3) クエン酸塩が 0.2 mol/Lで余剰[H+]が 0 の時, クエン酸を 0〜0.1 mol/L とすると pH がどう変わるかを示しています。
![]() (4) この緩衝液にクエン酸の50%の H+(共通イオンを持たないHCl等)が加わればpHがどれだけ小さくなるかを示しています。pHが変わらなければ緩衝作用は完璧です。
![]() (5) クエン酸塩濃度 cSS とクエン酸濃度 cAA をスライダーで選択して pH を表示させます。
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